始発電車は終電車

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始発電車は終電車

えっ?と耳を疑うけれど、そんな駅があるのです。

北海道の新十津川町にある、JR札沼線の新十津川駅。
この駅のすごい所は、 時刻表を見るとね 「午前10:00発 石狩当別」の一本のみ!
ええっ⁈ 一日一本しか列車が来ないです!
だから、始発電車は終電車。

(新十津川駅。ちいさいけど、いい駅舎)
(新十津川駅の列車は、午前10:00発の一本のみです!)

もともとローカル線で、それでも2016年までは3往復あったんだけど、減便されて1往復に。
いよいよ廃線も近いかなぁ、と思っていたら、一日一本の駅として、逆に盛り上がり始めたの!
この勢いでいっちゃえー!

でもやっぱりそうはいかず、今年(2020年)の5月で廃線が決まってしまいました。
今は廃線カウントダウンに入って、名残りを惜しむマニア達でいっぱいです。

この日は平日だから、人は少なめ。 それでもたくさんのマニア達が駅に集まっていました。

廃線フィーバーで、お店も出ており、札沼線グッズや地域の特産品などが発売。
これはいいなあ。いつもこうならいいのに。
でもみんな無くなるから来るんだよね…。

1両だけのディーゼルカーはちょうど1ボックスに1人くらい。
発車前にお店の方たちが見送りに。 大きな横断幕を掲げてくれました。
『札沼線ありがとう』
わぁ。なんかじーんときちゃいます。

(札沼線ありがとう。心温まる横断幕)

10時ちょうど。一日一本の列車がゆっくりと動き出しました。
のどかな石狩平野の端っこ。雪原をのーんびり走ります。
本当に恐ろしい位にのんびりで、旅人さんは喜ぶけれど、地元の人はイライラしちゃうかもな…。

そして森へ入ると可愛い木造小屋の待合室と板っきれみたいなホームが見えてきました。
秘境駅の豊ヶ丘駅です。さあ、降りちゃいましょう!

ディーゼルカーが森の向こうへ消えてゆくと、ホームにはアタシ一人取り残された。

ぽつーん。 次の汽車は下りが2時間後、アタシの乗る上りは3時間後です。
さあ、何をしよう。でもここにあるのは、板っきれのホームと、木造の待合室だけ。
あたりは圧倒的に森。きゃー!どうしよう?
これはもう森に委ねて癒されちゃいましょう。

(板っきれみたいな豊ケ丘駅。めっちゃ秘境駅です)

のんびり過ごして、駅周辺を探検して、お弁当食べて、駅舎内にある旅人ノート書いて、 行く所もやる事もたいして無いけれど、 それって新鮮じゃありません?
モノに溢れた都会。情報にも溢れた現代。
「何もないこと」ってすごい貴重な魅力だと思うんです♡

(豊ケ丘駅に下り列車がやってきた。やっぱり誰も乗らないし、降りてこない)

札沼線は廃線になってしまうけど、この秘境駅あたりだけでも保存してくれないかなぁ…。


ローカル線のお客さんは少ないけど、そのぶん、優しさはたくさん乗ってますよ。
そんな旅をできる場所がこれからも一つでも多くあってくれますように。
そして、JR北海道さん、応援していますよ♫